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カンバセーションとコミュニケーションの違い│SNSで顧客と接する時の注意点を解説

デジタルマーケティング
2023.03.28

昨今、顧客とSNS上で接触をする上で、カンバセーションとコミュニケーションを適切に使い分けることが求められています。

カンバセーションとは相手と交流する手段を意味しており、マーケティングの観点で言うと、顧客との会話を通じて情報発信や情報収集の効率化やコスト削減が実現できます。

一方、コミュニケーションは双方向で情報や感情を共有することで、商品やサービスに対して顧客のエンゲージメントを高めることなどが可能です。

これらの特徴から、情報発信・情報収集の効率性を重視したいなら「カンバセーション」、顧客と意思疎通をして相互理解を深めて売上などの成果に繋げたいなら「コミュニケーション」を行うなど、両者の違いを理解して使い分けることで、顧客と効果的に接することにつながります。

本記事ではカンバセーションとコミュニケーションの定義からそれらの違い、またそれらをSNS上で顧客に行う際の注意点を解説します。

1,カンバセーションとは

カンバセーションとは、会話や話し合いなど他人と交流する手段のことを指します。日常においては世間話や雑談など、特定の目的や意図のないやり取りになります。

例えば「今日は天気が良いですね」といったその場を待たせるための雑談はその典型例です。また、SNS上であれば企業側から一方向型の情報発信などがカンバセーションに該当します。

そのため、カンバセーションはコミュニケーションと異なり、意思疎通を目的としていない点に注意しましょう。本来コミュニケーションが必要な場面でカンバセーションを行ってしまい、顧客と適切な意思疎通がとれなくなる可能性があるからです。

2,カンバセーションのメリット

カンバセーションの定義を知った上で、次にカンバセーションのメリットを見ていきましょう。具体的には3つのメリットが挙げられます。

・顧客との信頼関係構築に役立つ
・顧客が返信を待つ時間を短縮できる
・顧客が知りたい部分のみ情報提供できる

以下で具体的に見ていきます。

2-1,顧客との友好的な関係構築に役立つ

日常的な場面でのカンバセーションは、何気ない軽い会話などを意味します。

目的がないため、何か具体的な売上に直結することは期待できないですが、関係を良好なものとして構築する上では必要です。

例えば、顧客に会うときや電話で話すときには、彼らの興味や関心について尋ねたり、共通の話題を見つけたりすることが大切です。
これにより、顧客とのつながりを深め、信頼関係を築くことができます。

2-2,顧客が返信を待つ時間を短縮できる

カンバセーションをすることで、顧客がカスタマーサポートなどからの返信を待っている時間を短くすることができます。

例えば、自社サイト上でサービスに関する質問に回答できるチャットボットを設置することは、カンバセーションマーケティングの一例です。
チャットボットにより、24時間体制で顧客の抱く質問に対して回答をして疑問を解消することが可能です。
その結果、顧客の疑問に関してスピーディーに回答できるため、顧客満足度の向上に繋がります。

また、Smart Insightsの発表によると、メディアやブランドに興味を持った消費者の37%は、30分以内に回答が得られることを期待しているといったデータを公表しています。

参考:Customers expect brand responses on social within 30 minutes|Smart Insights

この調査結果から、カンバセーション型のマーケティング施策を行うことで、顧客の待機時間を短縮し、顧客満足度の向上に繋げられることが考えられます。

2-3,顧客が知りたい部分のみ情報提供できる

カンバセーションは、顧客が知りたい部分のみ情報提供できる手法です。

例えば、顧客が気になる点がある場合のみ企業に直接質問することで、疑問に対する回答を受け取れます。
余計なコミュニケーションが発生しないのは、時間の限られた顧客にとっても有益と言えるでしょう。

3,コミュニケーションとは

コミュニケーションは相互でメッセージのやり取りを通し、双方向で情報や感情を共有することを意味します。例えば、以下の内容は企業のマーケティング活動におけるコミュニケーションに該当します。

・企業が顧客と直接やり取りをして購入を促すダイレクトマーケティング
・展示会やセミナーなどのイベント開催
・メールや電話、Web会議ツール等を活用してやり取りするインサイドセールス

顧客にとっては、コミュニケーションを通じ自社サービスについて理解を深められるため、それを必要とする顧客に対する効果的なアプローチになります。

一方向からの情報提供とは異なり、顧客と意思疎通を行う中で顧客の自発的な反応を引き出せます。

4,コミュニケーションのメリット

コミュニケーションの定義を知った上で、次にコミュニケーションのメリットを見ていきましょう。具体的には3つのメリットが挙げられます。

・インサイドセールスに向いている
・イベント開催時に適している
・購買意欲が高まりやすい

以下で具体的に見ていきます。

4-1,購買意欲が高まりやすい

コミュニケーションは、カンバセーションと比べて顧客の購買意欲が高まりやすい傾向にあります。なぜなら、コミュニケーションは相手に配慮した上で、対話を行い感情と情報の共有を図るからです。
コミュニケーションを行った顧客は自社サービスについて理解を深められるため、購買意欲を駆り立てられやすくなるでしょう。

また、マーケティングコミュニケーションはマーケティング戦略の考え方の1つに挙げられる「マーケティングミックス」に活用される手法です。

「マーケティングミックス」は実行戦略と言われており、顧客にどのようなアプローチをしていくのか具体的に決定するマーケティング理論です。
「マーケティングミックス」で用いられるフレームワークの4P( Product・Place・Price・Promotion)の中でコミュニケーションは、一番下の「Promotion」に該当する要素です。
宣伝を通して情報を共有し、自社サービスの良さを知ってもらえる機会を創出することができます。

また、顧客側から見た4C(Customer Value・Convenience・Cost・Communication)においても、コミュニケーションとして位置づけられており、重要な要素と言えるでしょう。

4-2,イベント開催時に適している

イベント開催においては顧客と相互交流を行うコミュニケーションが向いているでしょう。

マーケティング活動に付随したイベントにおいて、参加費無料の展示会やセミナーなどを開催することで、企業側は顧客ニーズの分析や新たな商材展開を検討する機会を作ることができます。

また、最近ではイベントをオンラインで開催することも多く、低コストで大量の顧客とコミュニケーションを通じて相互理解をする機会を設けることも可能になっています。定期的に顧客と接する良い機会にもなるでしょう。

4-3,インサイドセールスに向いている

インサイドセールスにおいては顧客と密にやり取りを行うコミュニケーションが向いているでしょう。

インサイドセールスはメールや電話、Web会議ツールなどを活用し、見込み顧客を対象に非対面で営業活動を行います。
インサイドセールスを実施することで「多くの顧客へ深く接触できる」「接触回数を増やし顧客の信頼を獲得しやすい」などのメリットが得られます。

5,カンバセーションとコミュニケーションの違い

カンバセーションとコミュニケーションの違いとして、以下の3点が挙げられます。

● 情報発信・収集の効率性の違い
● 顧客と接触コストの違い
● ナーチャリングしやすいかの違い

これらの違いから、情報発信・収集の効率性を重視したいなら「カンバセーション」、人的接触の機会を増やしたいなら「コミュニケーション」など、目的に応じて使い分けましょう。
以下で具体的にその違いを見ていきます。

5-1,情報発信・収集の効率性の違い

マーケティングにおけるカンバセーションはTwitterやFacebookなどのツールを活用し、消費者の傾向を幅広くキャッチできます。

例えば、インターネット上の市場調査を行うことで、膨大な情報量を効率的に収集できます。Twitterなどでは簡単にアンケートを行うことが出来るため、顧客のリアルな声を簡単に集めることが可能です。
収集した情報をもとに、今後の商品開発に役立てることが出来るでしょう。

一方、コミュニケーションでは、幅広く顧客の傾向を知るには非効率的ですが、顧客とのやり取りの密度が濃いのが特徴です。
そのため、コミュニケーションは大量のユーザー情報の獲得には不向きですが、例えば特定のユーザー層を理解するためのユーザーインタビューなど、個別具体的なユーザー理解を行う場面では有効です。

5-2,顧客との接触コストの違い

カンバセーションとコミュニケーションではかかるコストに違いがあります。
カンバセーションは、コストがかかりにくい一方、コミュニケーションにはコストがかかりやすいです。

例えば、24時間対応型のチャットボットを設置し、顧客とカンバセーションを行う場合は、その導入コストが発生するものの、人件費が必要なコミュニケーションに付随する費用に比べると安価に済む傾向にあります。

5-3,ナーチャリングしやすいかの違い

カンバセーションとコミュニケーションでは、ナーチャリングのしやすさに違いがあります。

ナーチャリングは商品やサービスの選択に必要な情報を継続的に提供し、顧客を購入するまで育成するマーケティング活動です。

例えば、商品やサービスの取り扱い方法や、会社の価値観を説明する機会を持つことで、顧客は商品やサービスの必要性を実感しやすくなります。

このような活動は、顧客と意思疎通を行い、情報だけでなく感情も含めて共有するコミュニケーションの方が向いていると言えるでしょう。

6,SNS上で顧客と接する際の注意点

SNS上で顧客と接する際の注意点として、以下の5点が挙げられます。

● 顧客からの問い合わせに対し迅速な対応を行う
● 情報を正確に伝え、プライバシーの保護を遵守する
● SNS上のフォロワーの声に耳を傾ける
● 質問や苦情に対応できる体制を整える
● 炎上リスクに備える

以下で具体的に見ていきます。

7,顧客からの問い合わせに対し迅速な対応を行う

SNSはリアルタイムでの情報伝達が可能なため、顧客からの問い合わせやクレームに対してはできるだけ迅速に対応することが重要です。

質問内容に迅速に回答する姿勢を心がけることで、企業としての誠意を表現でき、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

7-1,情報を正確に伝え、プライバシーの保護を遵守する

SNS上での情報発信においては、情報を正確に伝えて顧客に誤解を招かないように慎重になりましょう。企業の信用に関わるため、ファクトチェック・ダブルチェックなどの体制を構築しましょう。

また、企業は多くの顧客の個人情報を扱います。ネット上でそれが漏洩した場合、情報は簡単に複製出来てしまうため、後から取り返しがつきません。

個人情報や社外秘の情報には細心の注意を払って扱いましょう。

7-2,SNS上のフォロワーの声に耳を傾ける

SNSは、顧客と直接やりとりすることができる貴重なツールです。顧客からの声には、商品・サービスの改善点や顧客ニーズが含まれることも多いです。

企業側は、SNSを通じて発見した顧客からの意見やフィードバックを真摯に受け止め、改善につなげることが必要です。

7-3,質問や苦情に対応できる体制を整える

次に、SNS上の質問や苦情に対応できる体制を整えましょう。

TwitterやFacebookはチャットボットを設置することで、質問や苦情にも24時間対応可能です。
機械的な対応となってしまうため、コミュニケーションで生まれる感情の共有などの点は期待しにくいですが、こうした自動化ツールを活用することで、SNS上の質問に対してスピーディーに対応できます。

また、チャットボットでは意味が読み取れない質問に対しては、担当者が直接顧客とミュニケーションすることが必要になるでしょう。

7-4,炎上リスクに備える

多くの人に見られることの多いSNS上では、企業のアカウントでも炎上リスクがあることに留意しましょう。

公式アカウント上での誤った発言や従業員の不適切な投稿など、色んなケースが存在します。企業の場合、炎上が会社の信用問題に関わるなど、マイナス面での影響も大きいです。

会社としてSNSを活用するのであれば、SNSの運用も含めたネットリテラシーを高める勉強会を行ったり、問題が起きた時の対応方法を事前にマニュアル化してまとめておくなどの事前準備が必要です。

8,まとめ カンバセーションとコミュニケーションを使い分けて顧客と良好な関係を築こう

今回はカンバセーションとコミュニケーションの定義から、その違い、SNS上で顧客と接する際の注意点を解説しました。

それぞれの違いを知ることで、顧客へ効果的にアプローチすることができ、かつ誤った接触方法を避けることにつながるでしょう。

顧客が求める方法でやり取りを行うことで、顧客満足度を高めていきましょう。