マーケティング コラムデータ利活用

【データ利活用 第1回】データ利活用とは?意味と目的を明確にしよう。

データ利活用
2023.01.30

マーケティング業務を推進するべく、データを利活用する意味と目的について詳しく解説します。また、データ活用とデータ利活用の違いについても説明します。

目次

データの利活用とは

最近よく耳にすることが増え、注目を浴びるようになった「データの利活用」という言葉、あなたは知っていますか?
データ利活用とは、端的に言えば企業や組織に蓄積されたデータを上手に利用し、活用していく事を指した言葉です。
例えば、会社の過去の売上情報や顧客情報を元にして新たな販売計画や営業対象の拡大実施や、自社の製品やサービスに関する情報を他社へ提供することで新たなサービスを生み出すことや、フィードバックを得て更に新たな製品や機能を生み出することもデータの利活用にあたります。
しかし、ビジネスに活かすべくデータを利活用しているつもりでも、思うような成果に繋がらず、利益とはなっていないことも往々にして起こります。
その理由はデータを「活用」するまでに留まっていて、「利用」するまでには至っていないからです。
データを利活用するために分析を行いはするものの、そこから次のステップである利用するための具体的な施策に落としこむことが出来ていないので活用までに留まってしまっているからです。
こうなってしまう背景には、「社内に蓄積されているデータを使って活用方法を考えて欲しい」などという今存在しているデータありきでデータ利活用を考えてしまうからとも言えます。
また、今存在しているデータをとりあえず分析して現状を掴もうというところまでしか考えていない、次のステップにてその分析したデータをどう使うか、データ分析による予測なのか、業務効率の向上なのかなど、明確な目的や問題意識を持たずに分析を行っているからこそなかなか次に進めない状況に陥り易いとも言えるのです。
活用という言葉を辞書で調べると「活かして用いること」とあり、同じく利用という言葉を辞書で調べると「利益になるように用いること」とあります。
つまりは目的や問題意識に応じるならば、社内に蓄積されたデータだけではなく新たなデータすらも必要となり得ることもあるわけであり、正にデータ利活用とはビジネスにおける利益となるようにデータを計測、収集し、整理から加工、分析まで行う過程だと言えます。
よって、正しくデータを利活用するために最も大切なことは、まずデータ分析をする目的をしっかりと定めることです。
更にその目的を達成するために起こるであろう問題についてもしっかりと設定してから、この問題を解決したその先に目的が達成されるという認識を持ってデータを利活用するというスタンスで臨むことが肝要なのです。

なぜデータの利活用は注目を集めているのか

近年にデータの利活用が注目を浴びるようになった背景には、全世界的にインターネットのネットワーク環境やスマートフォンなどのデバイスも進化し、更にそれを利用したIoTやロボットなどのテクノロジーが並行して発達、進化を続けていることが大きく関係しています。
更に直近ではAIに対する期待とニーズが高まり続けており、仕事におけるDXでも業務プロセスの改善、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革することが期待されています。
加えて国内の企業の多くが、人手不足という深刻な問題を抱えていることも関係しています。
人手不足だからこそ少しでも生産性を向上させたく、それを解決する方法としてデータの利活用が期待されている状況でもあるため、「ビッグデータ」の利活用に注目が集まっています。
ビッグデータとは、膨大で複雑かつ一般的なデータ管理や処理、加工が困難なデータの集合体を表す言葉です。
これまでは多くの企業ではビッグデータの分析はもちろん、莫大なデータを収集することすらとても困難で不可能に近かったのですが、前述のようにテクノロジーが進化したことでビッグデータを収集・蓄積できるクラウドサービスが登場し、ビッグデータの抽出・加工・分析の技術的も進化を遂げています。
こうした背景からビジネスにおけるデータの利活用が注目され、多くの場面で耳にする機会も増えているのです。
このように企業のビッグデータの関心は高まる一方ですが、しかし、それでもビッグデータを有効に使えている、利活用出来ている企業は多いとはまだまだ言えない状況です。
データの収集・蓄積は進みつつありますが、その次のステップのデータ分析による現状把握やデータ分析による予測など、ステージがより高度になるにつれてそこまで対応できている企業はまだまだ少ないのが現状なのです。
では、ビッグデータに限らずデータを利活用するにはどうすればよいのか。
それは、
1.データを利活用する目的を明確にする
2.目的に合ったデータを得て分析、加工、検証などを行う
この2点がデータ利活用におけるポイントとなります。
目的が決まらないままにデータを収集、蓄積を行うと、何も使わないものを集めるだけとなり、また、集めてみたものの目的を達成するためのデータとは成り得ないこともあります。
また、集めたデータを使おうにも、どのように使えばよいのかを考えてなければ使う事すらもままなりません。
この2点、目的とプロセス(計画、分析、加工、検証など)については次の節にて更に詳しく説明します。

データの利活用の目的とは

上記で述べたように、データを利活用するには目的を明確にする必要があります。
データ利活用の目的とは、データをもとにしてさまざまな意思決定を精緻に行い、更に具体的な施策として落とし込むことだとも言えます。
これまでの企業の意志決定はデータがなかった、もしくはデータがあったが見え難かったことにより、現場の人間の経験則やカンなどに頼った意思決定が行われることも少なくありませんでした。
「過去に同じような経験をし、その時はこうなった」や、「確たる証拠はないが、なんとなくそう思う」など、従来から多くの企業で行われてきました。
また、人間が触れられる、処理できる情報はそれほど多くはなく、どんなに経験豊富な現場の人間や経営者であっても、大多数の顧客情報や顧客の行動を記憶することは不可能だとも言えます。
そのような経緯から、経験則やカンなどに頼った意思決定が行われることが多かったのです。
しかし、今はビッグデータに代表されるように、大多数の情報を収集、蓄積し、更にそのデータを分析することで顧客の購買傾向や隠れたニーズすらも発見することも可能となりました。
このように、豊富かつ正確なデータに基づいて行われる意思決定は、人間が経験やカンに頼った意思決定よりも更に正確で再現性も高い具体的な施策として落とし込むことが出来るでしょう。
例えば、製造業は企業単体だけで全てが成立するものではなく商品の部品となる製造業者、組み立てるメーカーはもちろん、その商品を配送する事業者、そして販売を受け負う小売店舗など様々な企業が関係してこそ成り立つサプライチェーンだと言えます。
このサプライチェーン全体の合理化を目指す場合、売上状況というデータを可視化することで生産量を調整することも可能となり、また、生産量を調整することは在庫管理のムダをなくすなども可能となります。
更に商品の配送状況をリアルタイムで確認することが出来れば、より効率的な配送計画も立案、実行ができます。
そうなるためにも今までPOSで行われたデータ(主に顧客数、顧客単価、時期や時間など)だけでなく、スタッフが接した特徴的な顧客のニーズや、もしくはより偶然性の高い要素の発見など、あらゆる属性データなども必要となってくることが考えられます。
このように、個別の企業の業務効率化を図るためだけではなく、サプライチェーン全体を最適化しムダを削減するためにもデータ利活用が必要となり、正にそれがデータ利活用の目的となり、データ取得・分析の計画を立てることができるのです。

データ利活用におけるプロセス

データ利活用の目的を明確に決めたならば、次は目的を達成するために起こるであろう問題をデータ利活用することで解決するというスタンスで具体的な施策に落とし込んでいくことが必要となります。
ここでは、データ利活用におけるプロセスについて説明します。
データ利活用において問題解決をはかるフレームワークの一つにPPDACサイクルというものがあります。
PPDACサイクルとは、「Problem(問題)」「Plan(計画)」「Data(データ収集)」「Analysis(分析)」「Conclusion(結論)」の頭文字を取ったもので、この5段階のフェーズを循環させることで課題解決を目指すものであり、PPDACサイクルは現代においてデータを利活用して問題を解決する点に特長があるフレームワークでもあるのです。

それでは、PPDACサイクルを行う順に説明します。
先ず考えるべき、設定するべきことは最初のP、①「問題設定」です。
最初に解決すべき問題を設定し、その問題を解決する、課題の達成のための指標も決めます。
その際に課題を達成できたかどうかが客観的に判断できるように、指標は定量的な数値に定める必要があります。

次に設定することは次のP、②「計画」です。
問題設定にて決めた指標を達成するために必要な調査を行い、その指標に影響を与える要因を明確にしたら仮説を立てます。
そして仮説を立証して、問題を解決するために必要なデータを収集・分析するための計画を立てます。

3番目はD、③「データ収集」です。
計画に沿ってデータ収集を行いますが、漫然とデータを集めるのではなくデータの取得方法から正確性までを意識してデータを収集します。
また、すでに社内に蓄積されているデータや収集方法が決まっているデータだけでは問題を解決するには至らない場合もあります。
その場合はデータの収集方法を含めて新たなデータを収集する必要があります。

4番目はA、④「分析」です。
データ収集にて取得したデータをもとに分析を行い、問題設定にて決めた課題を達成するためのヒントを探します。
また、分析結果を表やグラフ、図にして表現すると理解が進むだけでなく課題達成のためのヒントも見つかりやすくなりますので作成することをおすすめします。
例えば、今回説明しているPPDACサイクルを図にして表してみると以下のような図となります。
図があるのとないのとでは前者のほうが圧倒的に理解しやすいことが分かるでしょう。

最後はC、⑤「結論」です。
分析にて得た結果やヒントをもとにして、計画にて立てた仮説に対する検証を行います。
仮説が成り立っていたならば、問題設定にて決めた課題を達成するための施策に落とし込みます。
もし仮説が成り立たないという結論に至ったならば、再度①の問題設定の見直しからやり直します。
このサイクルを素早く、かつ何度も行うことで次第にデータ分析の精度はもちろん、仮説検証も成り立つようになり、施策の再現性も上がっていきます。
この一連のプロセスこそがデータの利活用であり目的でもありますので、是非PPDACサイクルを回して問題解決を行いましょう。

まとめ(データ利活用で仕事を促進させよう!)

以上の事からも分かるようにデータを利活用するには先ずは問題設定を行い、そしてそれを解決するための必要なデータが手元にあることが前提となります。
しかし、現状はデータが不足しているだけでなく問題設定すらも行われていないためなかなかうまくいかない企業が多いのは説明した通りです。
「社内に蓄積されているデータを使って活用方法を考えて欲しい」「それすらないなら、とりあえずデータを集めて欲しい」という気持ちも分かりますが、見切り発車で始めてしまうのはデータ利活用においては失敗のもとにもなってしまいます。
繰り返しになりますが、データ利活用を有効に行うためのポイントは以下の2つです。


1.データを利活用する目的を明確にする
2.目的に合ったデータを得て分析、加工、検証などを行う


データ利活用の目的とは、データをもとにしてさまざまな意思決定を精緻に行い、更に具体的な施策として落とし込むことです。
そしてデータ利活用におけるプロセスを進めるべく、フレームワークであるPPDACサイクルを回しましょう。
本記事で説明したデータ利活用の目的について常に意識し、更にデータ利活用のプロセスをPPDACサイクルのフレームワークに沿って実行すれば、間違いなくあなたの仕事が捗り、業務を促進させることとなるでしょう。
是非これを機にデータ利活用を進めてみて下さい。
もし自社内ではうまく進まない、または進みはするもののもっとスムーズかつスピーディーにデータ利活用を進めたいならば、専門業者のツールやサービスを利用するのも一つの方法です。
次節ではおススメのサービスを紹介しますので合わせてご検討ください。