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CRMとは?CRMを使った戦略の考え方

デジタルマーケティング
2023.02.17

CRMを使って顧客と良好な信頼関係を構築するにはどうすればよいか。CRMについて詳しく解説し、メリットやデメリット、導入についても説明します。

目次

CRMとは?

現在はインターネット環境が充実し、スマートフォンが普及したことによって顧客は自身で情報を集めることが可能な時代であり、商品やサービスの比較、検討も容易に行える時代だとも言えます。
この傾向はBtoCビジネスだけでなくBtoBビジネスにおいても例外ではありません。
企業の担当者はもちろん決裁者であっても商品購入やサービス契約を行う際は事前にインターネットで情報収集を行った上で判断を下すのが定番となりつつあります。
このような状況において顧客との関係性を確立することはかなり難しくなってきているだけでなく、従来のマーケティング活動だけでは既存顧客の維持だけでなく新しい顧客を獲得するのも難しくなってきているのです。
顧客に継続的に取引してもらうだけでなく単価を向上させ、確固たる信頼関係を構築するためにも現在は「CRM戦略」が企業には欠かせない時代だとも言えるのです。
CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)の略語であり、日本語では「顧客関係管理」、すなわち顧客情報や行動履歴を保持し、顧客との関係性を管理して顧客との良好な関係を構築した上で維持・促進することを意味する言葉です。
また、BtoBビジネスにおいては、CRMは顧客管理を行うツール・システムを指す言葉として使われることが多いです。
例えば顧客の連絡先や購入履歴を管理するだけでなく電話やメール以外にもソーシャルメディアを使ってのコミュニケーション、商談や取引の進捗状況の確認を円滑に行うための一括ツールとしてCRMツールが使われています。
(他にも同様の機能を備えたSFA、MAツールもありますが、これらの詳細な説明、機能については後述します。)
そもそもCRMツールを使って行われる主なCRM戦略の目的は、顧客と良好な関係を構築するだけでなく、その上で企業の利益を最大化させることでもあります。
CRMは効果的なプロモーション施策の実施や、顧客満足度の向上に役立つだけのものではないのです。
集めた顧客情報をもとにして顧客のニーズにあわせて最適なタイミングで製品やサービスを提供することも可能であるため、顧客満足度アップに寄与するのはもちろん、顧客満足度がアップすることで自社ブランドへの評価向上によって顧客が離れることを防ぎ、更には再購入の促進も見込めるので結果として売上につながるのです。
このように企業の目的を果たすためにも、現在はCRMを利用することが必要不可欠だと言えるのです。
この記事ではCRMの主な特徴、機能についても説明し、上手く使うためのポイント、メリットやデメリット、導入についても説明します。

CRMの主な特徴、機能

CRMは顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理して顧客との良好な関係を構築し、維持・促進するものであることは既に説明した通りですが、ここでは具体的に主な特徴、機能について紹介いたします。

CRMの代表的な特徴、機能は以下の5つです。

1. 顧客情報管理機能

顧客情報管理機能とは、各顧客の会社名や氏名、年齢、性別、電話番号、メールアドレスなどの基本的な情報はもちろん、商品の購入履歴やサービスへの問い合わせ内容、クレーム対応などの履歴も情報として管理します。
また、会社独自の情報などもデータベースとして情報を蓄積することで一括して管理できます。

2. 問い合わせ機能

顧客からの問い合わせ内容を把握するために顧客情報とも紐つけて履歴として保存して蓄積する機能です。
履歴として残すことで問い合わせについての回答漏れや重複対応などを防ぐことができるだけでなく、よくある問い合わせ内容をまとめ、かつFAQとして公開すれば対応の手間を減らすことにも繋がるので作業負荷を減らすことにもなります。

3. データ分析機能

データベースとして情報を蓄積することで条件に合うデータ抽出やグラフ出力も可能であり、テキストマイニングなど多角的な分析が可能となります。
分析によって顧客の傾向を掴み、マーケティング担当者や営業マネージャーはもちろん、経営者は顧客にあわせた施策を行う判断の基として使います。
その他にも蓄積された顧客データから見込み顧客をピックアップする顧客抽出機能を備えているCRMもあります。
最近では、AIによる分析・予測ができるツールもあります。

4. 配信機能

顧客をセグメントし、新製品の情報やキャンペーン情報をメールで自動的に一括配信できる機能です。
メール開封率の検証、分析などを行うことによりメール開封に繋がる時間帯やタイトルなどを把握したり、購入実績と合わせて多角的に分析することによって顧客へのメールによるアプローチの精度を高めていくことができます。
時にはパーソナライズした内容のメールを配信することで、顧客との関係をより深くすることもできます。

5. プロモーション機能

蓄積された各顧客の購入金額や購入頻度、直近の購入日などの情報を基に、優良顧客にクーポンや優待券を送ったりすることができる機能です。
他にもメールを配信する機能と合わせて、フォローメールやステップメールなど顧客の状況や段階に分けて配信することもできます。
アンケートを合わせて配信することもプロモーションとして行う機能を備えているCRMもあります。

上記以外にも「営業支援機能」や「ファイル共有機能」、「外部サービスとの連携機能」などCRMは様々な機能を有しているものがあります。
CRMを選ぶ際は自社に必要な機能や、これから取り組みを行う予定の機能を有しているかどうかで選ぶと良いでしょう。

SFA、MAとはどう違うのか?

このようにCRMは様々な機能を有しているのですが、基本的には顧客との関係を管理するためのツールとして扱われています。
またCRMに関連し、かつ似たような機能を持つSFAやMAといったツールもあり、この2つはCRMとも混同されてしまいやすいのですが目的や機能だけでなく活用する場面や業務領域も違っています。
(ただ、最近のCRMはSFAと機能が近しいので、同一のものとして語られることも増えています。)
ここではSFA、及びMAについて詳しく説明いたします。

SFA

SFAとは、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略語であり、日本語では「営業支援システム」と呼ばれており、組織的な営業活動の効率化を図るためのツールを指した言葉です。
 SFAを利用することで、企業が営業活動によって収集した取引先の企業の基本情報から商談の進捗状況、更には相手方とのコミュニケーションや交渉履歴についてもテキストデータや数値として記録し、蓄積しておくことができるツールです。
 また、記録した情報はプロジェクトのチームメンバーとリアルタイムで共有することができるだけでなく、リモートにて外出先から情報の確認や入力も行えます。
 もちろん様々な条件定義を行って該当データを抽出し、分析も合わせて行うこともできます。
 このようにSFAは営業活動にて使われるシーンが多く、個人の経験や勘に依存して属人化しやすい営業活動を共有、標準化することで業務効率化を図ることができるようにしてくれるツールだとも言えます。
 もしSFAかCRMかで迷った場合は、営業活動を円滑かつ促進したい場合はSFA、顧客と良好な関係を築きたいのであればCRMを選ぶと良いでしょう。

MA

MAとは、Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)の略語であり、収益向上と業務の省力化を目的として、マーケティング活動を自動化、効率化するためのツールです。
 ここでいうマーケティングとは、市場におけるターゲット層から顧客になり得る可能性が高い見込み客に対して的確に働きかけていく、アプローチすることで顧客を育成し、販売へとつなげていくための活動を指しています。
 マーケティングは顧客の状況に合わせて、適切なタイミングかつ適切なメッセージを発信することで商品やサービスに対する興味や関心を持ってもらうリードナーチャリングが重要です。
MAはこのようなマーケティングに関する作業をサポートするために、見込み顧客の関心度を数値化する機能もあります。
 もしMAかCRMかで迷った場合は、マーケティングを効率化したい場合はMA、顧客と良好な関係を築きたいのであればCRMを選ぶと良いでしょう。

CRM、SFA、MAを特徴や用途別に分けると、「顧客と良好な関係を築きたいのであればCRM」、「営業活動を円滑かつ促進したい場合はSFA」、「マーケティングを効率化したい場合はMA」と覚えておくと良いでしょう。

CRMのメリット、デメリット

CRMを導入すれば多くのメリットを享受することができますが、残念ながらCRMは万能ではなくデメリットとなることも起こり得ます。
ここではCRMのメリット、デメリットについて理解するべく詳しく解説します。

メリット

1. 顧客情報を一元管理できる

CRMを導入することで担当者がそれぞれ管理していた顧客情報を全社で一元管理することができます。
また、一元管理することで担当者間や部署間での情報共有も容易に行えるようになるため、異なる地域の顧客情報や最新の顧客情報などもスムーズに共有できるでしょう。

2. 情報のリアルタイム共有

顧客情報を一元管理することができるということは、入力された情報の重複が起こらないので常に最新の情報を閲覧、抽出などが可能となるので業務効率化にも繋がります。
また、リアルタイムでチームメンバーに必要な情報を即座に共有することも可能になります。

3. 顧客の満足度を高める

CRMによって顧客は過去に購入したことがある商品やサービスに関連する情報を受け取ることができたり、適切なサービスや必要なサポートなどに関する有益な情報も受け取ることができるようになるため、結果として顧客の満足度を高めることになります。
また、CRMにより顧客情報が一元管理されているため、営業担当者が変わっても今までと同じように適切なフォローアップが実施されるので、顧客が不満に感じることも少なくなります。

4. 分析による成約率の向上で収益も向上する

CRMは顧客の分析を容易にすることができるだけでなく顧客それぞれに適切なサービスと対応をも実現させるので、結果的に顧客満足度の向上につながります。
また、顧客満足度の高さは既存顧客の契約継続だけでなく新規顧客獲得にもつながるので成約率が向上します。
更に成約率が向上するということは収益も向上するので、企業にとっては収益の確保と言う最大の目的を達することができるのです。

デメリット

1. 導入・運用コストがかかる

CRMに限らずツールやシステムは一般的に処理が高速で、かつ保存できるデータ容量が大きいほどコストがより多くかかるようになっています。
CRMにはクラウド型やオンプレミス型などのシステムがありますが、クラウド型はオンプレミス型と比べて様々な料金体系のサービスが提供されているのが特徴です。
オンプレミス型は自社のニーズに合ったカスタマイズや独自の方法でシステム運用ができます。
オンプレミス型よりもクラウド型のほうが比較的安価ではありますが、それでも導入・運用コストは必ずかかりますので、コストについてもしっかり考えた上で導入を決めましょう。

2. 効果を実感するまでに時間がかかる

CRMは、導入するだけではその効果を発揮できません。
営業担当者はもちろんチームメンバーに顧客情報を入力してもらう必要があり、そのためのフォーマットの策定や運用ルールを決めることが不可欠です。
また、CRMの導入失敗の原因として導入すること自体が目的になってしまい、導入後の目的が曖昧であることや導入の目的が明確であっても全社員に浸透していないこと、更にはCRMを利用する営業担当者の理解不足で十分に使えずに、効果を実感するまでに時間がかかりやすい傾向が強いのです。

以上がCRMの代表的なメリット、デメリットです。
CRM導入時には是非一読して確認することをおすすめします。

まとめ(分析・活用事例の紹介)

最後にCRMを導入・運用する際に気をつけること、そして分析・活用事例をまとめます。
CRMを導入する際に気をつけることは以下の通りです。

1. 管理項目を絞り込む

CRMは日々使うものであり、顧客情報も随時かつ頻繁に入力を行うため、入力しやすくすることは理用しやすいことにも繋がります。
多くのデータを記録したい、更には多くの項目を入力してより詳細なデータを記録したい気持ちも分かりますが多すぎるデータ入力はいたずらに作業負荷を増やすことにもなります。
出来る限り入力項目は少なくするようにしましょう。

2. 入力項目は分かりやすくする(規則性を設ける)

顧客情報を個人が好きなように入力できるようにしてしまうと情報の整理、分析はもちろん、情報の取り出しすらも難しくなります。
入力ミスを防ぐためにも入力必須項目とそうでない項目は一目で分かるようにすることや、自由入力の項目についてもある程度のフォーマットを決め、更に入力例を合わせて表示しておくと入力がスムーズに行えるでしょう。

3. 最新の状態を保持する

顧客情報を登録したまま放置してしまい、情報が古いため現状と一致しないと利用もままならないことが往々にして起こりやすいです。
情報を一元管理しているからこそ、情報は常に最新であるよう定期的に見直すようようにしましょう。

また、以上を踏まえた活用事例もご紹介します。

1. 顧客情報分析における営業支援

主にBtoB向けのCRM活用の一つに、CRM管理されている顧客情報にて顧客の行動を正確に把握して分析することがあります。
この分析によって、顧客の行動に対する適切なアクションを知ることができるので営業支援に役立てることができます。
例えば分析によって優良顧客を明らかにするだけでなく、購入時期や購入頻度・購入金額に基づいた顧客のグループ分けを行うことでRFM分析の活用も行えます。
※ RFM分析 … 「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標を用いて顧客をグループに分ける分析手法。

2. 顧客満足度の向上

主にBtoC向けのCRM活用として、顧客情報分析によって顧客の行動や関心・好みを明らかにしたパーソナライズ化があります。
たとえば、購買傾向を基に行われるCTB分析によりパーソナライズされた商品提案を行ったり、関心や好みが似ている顧客の購入履歴に基づいた商品提案を行ったりすることができるでしょう。
※ CTB分析 … 「分類(Category)」「風味(Taste)」「ブランド(Brand)」の3つの指標を用いて分類する方法。顧客がどんな商品を購入するかを高い精度で予測できる。

以上がCRMを導入して分析・活用するポイントです。
もし自社内ではうまく進まない、または進みはするもののもっとスムーズかつスピーディーにCRMの導入を進めたいならば、専門業者のツールやサービスを利用するのも一つの方法です。
次節ではおススメのサービスを紹介しますので合わせてご検討ください。