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LTV(顧客生涯価値)とは?LTVを高める方法を解説

デジタルマーケティング
2023.03.23

LTV(顧客生涯価値)とは、顧客が製品またはサービスを購入したときに、企業が収益を得る可能性を見積るために使用されます。
本記事では、LTVの意味と重要性、最大化する方法や、計算方法などをわかりやすく解説します。

LTVとは?

マーケティングにおいてLTV(ライフタイムバリュー)とは「生涯価値 LTV=LifeTime Value」のことを言い、顧客が一生で繰り返し購入することで企業が得られる利益を表す指標として使われています。
一般的に新規顧客の獲得はコストがかかり、集客に投資した費用の回収は難しいとされていますが、収益性を維持しながら、顧客獲得に費やすことができる金額を正確に特定するためにLTVの測定が必要となるのです。

LTVが注目される背景

LTVは企業にとって重要な指標となり、最近注目が集まっていますが、
なぜLTVが注目をされているのか、今回は以下の3つの理由について解説させて頂きます。
「サブスクリプションの台頭」
「消費者の価値観の変化」
「人口減少による顧客獲得競争の激化」

サブスクリプションサービスの台頭

LTVはサブスクリプション事業では一般的な成果指標となっています。「解約率」を下げ、「継続率」を延ばすことが直接の売り上げになるからです。
コロナ渦において動画のサブスクリションサービスの需要が高まり、収益戦略のロールモデルとして、それまで以上にLTVが注目されるようになりました。

消費者の価値観の変化

1970年代までの高度経済成長期においては、洗濯機や炊飯器が革新的なアイテムとして登場し、消費者がこぞって買い求めました。すべてが目新しく、景気の影響の享受もあり、飛ぶように物が売れていた大量消費時代といえます。
その結果、供給がいきわたり、新たな打ち手として発明するがごとく商品開発が進められ、現代社会は優れた商品で溢れかえっています。

また、消費者においては、メディアの発達により有益な情報を得ることが可能になり、オンライン・オフラインを相互利用して効率的に賢い買い物ができるようになりました。
商品比較、価格比較、口コミなど、売り物の実態は常に明るみに出ていることから、企業は顧客の「求めること=顧客満足」に真摯に向き合う必要がでてきたのです。

人口減少による顧客獲得競争の激化

総務省による2018年の報告では15〜64歳の人口は総人口の6割を下回り、70歳以上が全体の半数近くに及んでいます。

出典:総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ」

少子高齢化社会は、商品を買う顧客のボリュームが限られ、かつ減少していく流れを生みます。前述したように現在の商品は優れているので、壊れることもなく長持ちし、使いたければそのまま使うことができます。競争社会で勝ち続けるために企業同士が商品開発努力を重ねた結果、消費者はモノを新しく買う必要がなくなったともいえます。
購入者数、購入頻度が少なくなれば、限られた母数をめぐって当然企業間の競争は激しくなります。

また、現在はテクノロジーの発達により誰でも簡単に商売が可能となり、売り手市場も飽和状態のため、顧客は誰から買うか選択肢をもてるようになりました。
企業が「売る」時代から消費者に「選んでもらう」立場に変わったのです。

LTVが重要な理由

LTVは、企業の成長戦略を考える上で、収益の見積に欠かせない指標です。
LTV測定で実際に何ができるのか具体的にあげます。

●効果測定
LTVの測定を行いさまざまな要素を分析すると、価格設定、広告、顧客維持に関して、利益を増やすための目標達成に向けた道筋が可視化され、戦略設計の精度が上がります。

●顧客獲得率の向上
ターゲットを絞り込むことができれば、支出の割り当てが最適化され、収益性の高い顧客獲得にむけて投資できるようになります。獲得率が上がれば、顧客獲得にかかる全体のコストを最小限に抑えられます。

●顧客継続率の向上
LTVの高いユーザーに必要なサービスを提供し顧客満足度がより高まれば、リピート率が上がり、継続的な利益を維持することができます。また、解約率が低くなれば顧客同士の紹介による集客や、好意的な顧客が増えることによる企業のブランディング・社会的信用度の向上にも効果があります。

●新たな事業企画へのデータ活用
LTVを使用して、顧客の利用状況を測定したデータを使用し、他の商品・サービスの戦略に生かすことができます。

LTVの最大化とは

顧客をできるだけ長い期間維持し、より多くの支出を促す仕組みをつくることで、収益の利益が拡大することを「LTVの最大化」といいます。顧客満足度を高く維持することで末永くリピーターでいてもらい、継続購入による利益を受け取り続けることがゴールともいえます。
では、LTVを最大化するには具体的にどのような施策が有効なのか、紹介していきます。

LTVを最大化する方法

●適正な価格設定
サービスに見合った適正な価格を設定しましょう。価格に見合った価値を提供できるようであればLTV が拡大され利益を向上できる可能性があります。自社の価格を決定する前に、必ず競合他社の価格を調査して価格設定を考慮しましょう。

●紹介キャンペーンや復帰サービス
知人や家族に製品を紹介すると、紹介を通して両者に特典が付与されるようなサービスを実施し、双方にメリットを感じさせましょう。また、新規顧客へのサービス以外に、一度離れた顧客が戻ってくるようなキャンペーンを催すことも有効です。

●オウンドメディアで関連性のある魅力的なコンテンツを提供する
ウェブサイト、ブログ投稿、SNSコンテンツなど、オウンドメディアは、ターゲットと繋がるチャンスに溢れています。新商品を紹介したり、継続的なサービス情報を公開して顧客と繋がり続けることができます。

●A/Bテストの実施
LTVを改善するには、顧客が何を求めているのかを理解することが重要です。あらゆる段階で A/Bテストを実施して、最も多くの成果獲得に繋がる内容を掘り出します。広告でいえば、さまざまな見出し、行動を促すフレーズ、レイアウト、画像などでユーザーの反応を比較すれば、今後のキャンペーンをどんどん最適化することができます。

●顧客ケアを行う
LTVの低下を招く原因の1つに、カスタマーサポートが機能していないことが挙げられます。顧客との長期的な関係を維持するため、顧客の問い合わせ・連絡・リアクションに対しスムーズ、かつ誠実に応じることができる環境をつくりましょう。また、顧客からのフィードバックは忘れずに取り入れてください。継続してフィードバックを収集することで、それらを製品またはサービスの改善に結び付けることができます。他にも、定期的に魅力的なイベントを催すことで、既存顧客との関係性を温め続けることができ、顧客ロイヤルティがさらに強化されLTV向上にも繋がります。

LTVの計算方法

LTVの基本的な計算は下記の通りです。
必要な情報
● 平均購入額
● 購入数
● 継続期間

LTV(顧客生涯価値)の公式

LTV=平均購入額×購入回数×継続期間

企業の事業形態によって様々な計算方法があります。

①リピート商材
LTV=購入単価×購入回数×継続期間

②B to B商材
LTV=1顧客の年間取引額 × 収益率 × 1顧客の継続年数

③サブスクリプション型商材
LTV=顧客の平均単価×粗利÷解約率

●顧客生涯価値 (LTV)の計算
①の例 スポーツジム会員となり毎月 1万円の会費を払い 3 年間使用した場合、その顧客の顧客生涯価値は次のようになります。
LTV=10,000 x 12 x 2 = 240,000 円(年間 12万円)

●顧客獲得コスト(CAC)の計算
例 平均的な顧客の LTV が 24万円で、価値のある顧客の LTV が 60万円である場合
価値のある顧客を獲得するために 36万円が必要であると割り出せます。
600,000-240,000=360,000円

収益を改善する方法

上記までに施策例などをあげてきましたが、実際に指標を改善する具体的な方法は以下の通りです。これらを施策と結びつけながら実行していけると良いでしょう。

● 購入単価を上げる
● 購入頻度を上げる
● 継続利用を促す
● 原価を抑える

LTVとは?まとめ

LTVを正しく把握するためには、顧客一人ひとりと向き合う必要があります。そうすれば、おのずとLTVの最大化に繋がり、自社の継続的な売上にも直結していきます。また、顧客の満足に応えるためには当然自社ビジネスの理解と、その理解に基づいた仕組みの設計・開発・運用がなければ実現しません。
マーケティング担当者はLTVを理解して、自社の収益性とパフォーマンスを最適化できるようになりましょう。