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マーケットインとは?顧客目線で営業戦略を考える方法を解説

デジタルマーケティング
2023.05.25

「マーケットインとプロダクトアウトの違いは何?」「マーケットインで営業戦略を考える方法が知りたい」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

マーケットインはプロダクトアウトと並んで、マーケティングや商品開発において基本的な考え方です。

この記事では、マーケットインとプロダクトアウトの概要説明やマーケットインで営業戦略を考える理由や方法、マーケットインで営業戦略を考える場合の注意点などについて説明します。

マーケットインで顧客目線での営業戦略を考えたい方は、ぜひ参考にしてください。

1. マーケットインとは

マーケットインは顧客が求めるものを市場調査やヒアリングで調査し、顧客ニーズに合った製品やサービスを開発・販売する考え方です。

顧客が求めているものを提供するため、顧客の信頼度や期待度が上がりリピーター顧客を獲得しやすくなります。

顧客のニーズを製品やサービスに反映させた製品やサービスを提供することで、ある程度の売り上げ予測が立てやすいことも特徴です。

競合他社と類似製品・サービスになることもあるため大きくヒットする可能性は期待できませんが、顧客が満足するものであれば長期間に渡って売れ続ける可能性があります。

2. プロダクトアウトとは

プロダクトアウトは会社が作りたい製品やサービスを企業方針に沿って開発し、提供や販売をする考え方です。

企業の得意技術を活かして商品やサービスを開発するので「良い製品やサービスであれば売れる」という考えのマーケティング手法です。

独自のアイディアや技術で製品やサービスを開発するため、他の企業が簡単に真似できないものを提供することができ、企業のブランディングをすることができます。

今まで世の中になかった画期的な製品やサービスを開発して販売することで、多くの顧客から求められるようになれば大ヒット製品を生み出すことも期待できます。

反対に、企業目線で開発したものが顧客に全く響かず売れないということもあり得ます。その場合は、プロモーション方法や製品自体の需要を見直す必要があります。

3. マーケットインで営業戦略を考えなければならない理由

「企業目線で目新しいものを開発すれば売れる」という時代が終わり、膨大な数の類似製品やサービスがあふれる世の中になりました。

このような中で、自社の製品やサービスを顧客に選んでもらうためには、競合他社との差別化が重要です。

他社との差別化に重要となるのが、マーケットイン、ひいては顧客目線で営業戦略を考えることです。こちらでは、マーケットインで営業戦略を考えなければならない理由について説明します。

3-1. 営業活動を行う上で競争が激化しているから

様々な類似製品やサービスがある中で、自社の製品やサービスを選んでもらうためには競合他社と同じような営業活動を行っていては購入してもらうことは難しいでしょう。

同じような製品やサービスの中でも、顧客自身が「自分のニーズを満たすことができる」と感じなければ購入してもらえません。

マーケットインで顧客の要望を把握し、単なる製品やサービス説明だけでなく要望に合った提案ができることが重要です。

3-2. 顧客にとっての価値が変化しているから

時代が変われば世の中の需要も変わり、顧客のニーズや価値観は変化していきます。顧客の変化に気づかず「これまでは売れていたから」「この営業方法でうまくいっていた」という固定概念にとらわれてしまうのは危険です。

常に顧客のニーズを読み取り、変化を敏感に察知するためにもマーケットインでの営業戦略が必要なのです。

3-3. 競合他社との差別化ができるから

同じような製品やサービスであっても、顧客のニーズを丁寧にヒアリングして個々の顧客に合った最適なものを提案できることで、競合他社との差別化ができます。

細かなヒアリングや顧客のペースに合わせた製品やサービス提案、アフターフォローなど競合他社が行っていない営業戦略を立てることで顧客に選ばれる可能性が高くなります。

3-4. インターネットの普及による顧客情報入手の変化

インターネットが普及し、顧客が様々な情報をインターネット上で手に入れることができる時代です。

オンラインで比較検討して、購入まで完結するため営業担当者から直接説明を受けることが少なくなったため、顧客の本当のニーズもつかみにくくなってきています。

そのため、オンラインチャットやメール、公式LINEなどで顧客とやり取りをすることで顧客の悩みやニーズを把握することが重要です。

スマートフォンで製品やサービスの購入や様々なやり取りが完結できる時代においては、対面だけでなくオンラインでの接触を積極的に行い競合他社との差別化をすることが大切です。

4. マーケットインで営業戦略を考える方法

マーケットインで営業戦略を考えるためには、顧客のニーズを把握してニーズに合った製品やサービスを提案することが重要です。こちらでは、マーケットインで営業戦略を考える方法について説明します。

4-1. 顧客の悩みを知る

マーケットインで営業戦略を考えるうえで最も重要になるのが、顧客の悩みを知ることです。市場調査やヒアリングで顧客が悩んでいることや困っていることを知ることで、顧客目線での営業ができるようになります。

顧客の悩みを知るための一般的な方法は、アンケートを取って感想や要望を質問することです。

また、Webサイトから顧客が製品やサービスを購入する場合には、トラッキングタグやCookieを使うことで顧客のサイト閲覧履歴から顧客行動を観察することができます。

データを分析することで顧客の本当のニーズを知ることができるのです。営業は必ずしも顧客と対面でやり取りをしなければいけないわけではありません。

様々なツールを使用して顧客データを管理・分析して効果的に顧客の悩みを知ることができます。

4-2. 社内で顧客の悩みを共有する

顧客の悩みを社内で共有することで、既存の製品やサービスの改善に役立てることができます。

また、市場調査やヒアリングで得た顧客のニーズを分析して新しい製品やサービスの開発を進めることもできます。

営業職だけでなく、マーケティング職や開発職など様々な部門と連携し顧客ニーズを共有することが会社全体の成長につながります。

4-3. 顧客の問題が解決できる製品やサービスを提案する

顧客の悩みや課題を把握した上で、顧客の問題を解決できる自社の製品やサービスを提案しましょう。

会社の都合や営業の都合を押し付けた提案にならないように注意をした上で、顧客のニーズに合うものを提案しましょう。

顧客の信頼や期待を一度裏切ってしまうと、製品やサービスの購入・利用をやめてしまう可能性があります。

顧客目線で営業をするのであれば、最後まで顧客の悩みの解決をサポートしましょう。

5. マーケットインで営業戦略を考える場合の注意点

マーケットインで営業活動をするのであれば、会社都合や営業担当者都合ではなく顧客目線で営業をする必要があります。

こちらでは、マーケットインで営業戦略を考える場合の注意点について説明します。

5-1. 会社都合を顧客に押し付けない

会社の方針やミッションを顧客に押し付けてしまうことは、顧客目線での営業戦略にはなりません。

顧客のニーズを把握した結果、顧客にとっては製品Aの販売を提案することがベストであるのに、会社側の論理で製品Bを売ることを推奨されることもあるでしょう。

この場合、営業担当者は製品Aを顧客に提案したくても、会社都合で製品Bを販売しなくてはならなくなります。

結果的に顧客のニーズにこたえられず、顧客の満足度や期待が下がり購入してもらえないという結果にもなりかねません。

5-2. 営業担当者の都合で営業しない

会社都合ではなく、営業担当者の都合を顧客に押し付けて営業してしまうことも避けましょう。営業職はノルマが決められていることもあり、数字を達成するために顧客目線になって考えられない時もあるかもしれません。

ですが、顧客は「営業担当者が自分の利益を優先している」ということを敏感に感じ取ってしまいます。

顧客のニーズに答えられるような言動をすることで顧客の信頼度が上がり、結果として長期間のリピーターになったり、自社の他の製品やサービスも購入してくれるということにつながります。

5-3. 自分が「話す」よりも「聞く」に集中する

顧客目線での営業を行う場合は、自分が話すよりも顧客の話を聞くことに集中しましょう。
マーケットインで営業戦略を行うためには、顧客が求めていることを知る必要があります。

営業担当者ばかりが話して自分が売りたいものをセールスしていては、顧客目線の営業はできているとは言えません。

顧客のニーズを把握するためにもセールストークは控えめにして、顧客が話しやすい雰囲気作りに集中しましょう。

顧客としても自分の話を真摯に聞いてくれる営業担当者を信頼し、本当の悩みを話してくれるはずです。

5-4. 方法にこだわらず顧客と接点を持つ

営業方法は顧客との直接対面だけではありません。電話やメール、チャット、SNSなど現代は様々な方法で顧客と接点を持つことができます。

また、顧客によって対面では話しにくいケースやチャットの方が話しやすいなど異なるので、顧客のニーズを聞き出しやすい方法でヒアリングを行いましょう。

5-5. 顧客が商材をイメージできるように説明する

顧客に製品やサービスを提案する時には具体的にイメージできるように説明をしましょう。言葉だけでの説明ではイメージがしにくいものは、実物、動画、事例などを交えて説明をするとイメージしやすくなります。

顧客の悩みを解決できる製品やサービスであることを納得してもらうためにも製品やサービスの魅力の伝え方は重要です。

6. マーケットインの営業戦略で重要なヒアリングのコツ

顧客の価値観や使用状況はそれぞれ異なるので、顧客を理解するためにヒアリングが非常に重要になります。「この顧客はこうだろう」と先入観を持っていては、顧客の本当のニーズを知ることはできないのです。

こちらでは、マーケットインの営業戦略で重要なヒアリングのコツについて説明します。

6-1. ヒアリングの項目を用意する

顧客にヒアリングをするときには、重要な質問を忘れないようにヒアリングする項目を事前に用意しておきましょう。ヒアリングする項目の例には次のようなものがあります。

・抱えている課題・悩み
・解決したいこと
・利用している製品やサービス
・製品やサービスを選ぶ時に重視していること
・使用している自社製品やサービスの感想・疑問点
・導入する時期
・予算

営業のヒアリングの手法に「BANT」というフレームワークがあります。BANTはBudget(予算)、Authority(決済権)、Needs(需要)、Time frame(導入時期)の頭文字をとった略語です。顧客の価値観や状況に合わせて、抱えている問題や悩みなどに合わせた質問を行っていくことが大切です。

6-2. 仮説を立てておく

ヒアリングでは仮説を立てることが重要です。「こういうことでお困りではないですか?」と仮説を投げかけると、困っていることや悩み事を話してもらえることもあります。

顧客自身が何に悩んでいるのか、何が課題なのかがはっきりしていないこともあるので事前に仮説を立てて顧客に投げかけてみましょう。

6-3. ヒアリングシートを活用する

ヒアリングを効果的に進めるためにも、ヒアリングシートを作成しておくことがおすすめです。実際にヒアリングを始めると話が逸れたり、聞き忘れることがあるので、ヒアリングシートに沿って進めるといいでしょう。

6-4. 関係性の構築をする

ヒアリングをしても顧客との信頼関係がなければ、本当の悩みや課題を話しにくいものです。ヒアリングで必要になる項目を作成することも重要ですが、顧客が自然と話しをしたくなるような関係性を構築することも重要です。

思わず話をしたくなる雰囲気作りも大事です。営業担当者というよりは、顧客に寄り添ってサポートする支援者としての立場を獲得することが求められます。

7. マーケットインで営業をするために必要なスキル

マーケットインで営業をするために必要になるスキルは、情報分析スキルや仮説設定スキル、ヒアリングスキルなどです。こちらでは、顧客目線で営業をするために必要なスキルについて説明します。

7-1. 情報分析・仮説設定スキル

顧客目線で営業をするためには情報分析スキルが重要です。顧客の悩みや課題の仮説を立てるためには、業界の動向や顧客の行動について情報収集をして分析することが求められます。

顧客と密にコミュニケーションをとり、顧客にとって本当の意味で改題を解決できるような仮説を提案できるようにしましょう。

分析の結果、的確な仮説を投げかけることで顧客が自身で分かっている顕在化した課題だけでなく、潜在的な課題も見つけることができます。核心を突く仮説を提案できれば、顧客の信頼度が上がり顧客満足度も高くなるでしょう。

仮説を立てるプロセスには、次のようなものがあります。

・顧客の本当のニーズを考える
・本当のニーズを満たすために障害となっているものを考える
・障害となっているものを取り除くための仮説を立てる

顧客目線での営業戦略を考えるためには、情報分析をするだけでなく、顧客の立場に立った課題や課題解決に具体的に必要となる製品やサービスをイメージするスキルが必要です。

7-2. コミュニケーションスキル

マーケットインの営業を行う上でコミュニケーションスキルは非常に重要です。信頼関係ができていない顧客であっても上手くニーズをくみ取って、顧客の課題解決ができる提案をするスキルが求められます。事前に様々な質問を用意して顧客に共感することで、顧客から信頼を得て製品やサービス購入につながるのです。

対話で顧客がリラックスして悩みを話してくれるだけでなく、そこから製品やサービス説明を聞いてくれるという成果に持っていくというコミュニケーションスキルが営業では求められます。また、顧客目線の営業では、話すスキルよりも、顧客の話を聞くスキルが必要となります。

7-3. マネジメントスキル

マーケットインの営業を成功させるためには、マネジメントスキルも求められます。営業活動の記録、進捗状況、コスト、達成状況などを分かりやすく数字で把握することで効果的な営業ができるようになります。

チームで営業をする場合は目標を共有して、それぞれのメンバーのノルマやタスクを決めましょう。また、業務がどのくらい進んでいるのか、設定した目標に対してどのくらい達成できているのか進捗状況を確認することも大切です。

8. まとめ

マーケットインで営業戦略を考える場合は、いかに競合他社との差別化ができるかがポイントとなります。差別化をするためには、顧客と密にコミュニケーションをとって信頼関係を築いて顧客の本当のニーズを知る必要があります。