マーケティング コラムデータ利活用
【データ利活用 第2回】業種別データ活用事例を見る
ビジネスのデジタル化や意思決定におけるデータ活用の重要性はますます高まっています。しかし、データ活用とは具体的にどのようなもので、産業別にどのように活用できるのでしょうか。今回は、データ活用の意味や目的について解説し、業界別の事例を探ります。定量データ、定性データ、事例、顧客データ活用のヒントなどを見ていきます。業界別のデータ活用について、ぜひ読み進めてください。
目次
1.データ活用の意味と目的
データ活用とは、データを収集・分析・活用し、情報に基づいた意思決定を行うことです。データ活用の目的は、企業がよりスマートな意思決定を行い、業務効率を向上させ、より良い顧客体験を生み出すことです。
ビジネスを推進するための顧客データ活用の一例をご紹介します。
1.カスタマーエクスペリエンスを最適化する顧客データを活用して、お客様のニーズを理解し、シームレスな顧客体験を実現する。
2.データを活用した意思決定顧客データを活用して、顧客の行動を理解し、商品開発やマーケティングに関するより良い意思決定を行う。
3.カスタマーサービスを向上させる。顧客データを活用することで、顧客からよく寄せられる質問や懸念を特定し、より良い顧客サービスを提供することができる。
データを活用する業界は多岐にわたります。例えば小売業、金融業、ヘルスケア、ホスピタリティ、製造業などです。各業界は独自の課題に直面しており、状況を把握するためにさまざまな種類のデータが必要です。
2.定量的データ、定性的データ
データ活用をする場合、基本的に「定量的データ」と「定性的データ」の2種類があります。定量的データとは、簡単に測定したり、数えたりすることができるデータのことです。例えば、売上高、顧客数、ウェブサイトのアクセス数、平均取引額などが定量的なデータです。
定性的データとは、簡単に測定したり、数えたりすることができないデータです。定性的データの例としては、お客様の声、意見、感情などがあります。質的なデータは、アンケート、インタビュー、フォーカスグループ、カスタマーレビューなどを通じて収集されることが多いです。
3.ケーススタディ BtoB
業種別のデータ活用をさらに理解するために、データ活用に成功した事例をいくつか見てみましょう。
a.BtoBの販売企業
この企業は、人口統計情報や購買行動など、顧客に関するデータを収集しました。このデータを使って、顧客ベースのセグメンテーションを改善しました。また、潜在的な新規顧客を特定し、よりターゲットを絞ったマーケティング戦略を立てることができました。
b.Saasツール提供企業
マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入を導入し、それまで人海戦術に頼っていた自社の見込み顧客のデータの整理やデータベース管理の課題解決に動いた結果、
受注見込みの高いセグメントを抽出でき受注率が上昇。直ちに受注に至らなかった顧客にも、適切なタイミングでメールなど再アプローチできるようになりました。こうしたMAの強みも生かして、さらに受注率は向上したということです。
4.ケーススタディ BtoC
データ活用は、小売、ホスピタリティ、ヘルスケアなど、さまざまな業界で活用することができます。以下では、さまざまな業界の事例と、データ活用によって得られた知見を探っていきます。
a.小売業
小売業では、顧客の購買パターンや嗜好を把握するためにデータを活用することができます。顧客の購買や行動を追跡することで、企業はどのような商品が最も人気があり、顧客が将来的にどのような商品を購入する可能性が高いかをよりよく理解することができます。また、お客様の嗜好を把握することで、メッセージやプロモーション、商品選定を適切に調整することができます。
b.ホスピタリティ
ホスピタリティ業界では、データ活用により、顧客体験を改善できる領域を特定することができます。お客様の声を収集・分析することで、お客様が何を好み、何を好まないかをよりよく理解することができます。この情報は、顧客体験を向上させ、顧客ロイヤルティを高めるための変更に利用することができます。
c.ヘルスケア
ヘルスケア業界では、データ活用により、患者ケアのトレンドやパターンを特定することができます。患者の転帰を追跡することで、医療従事者は、どの治療が最も効果的で、どの治療が期待通りに機能していない可能性があるかを特定することができます。この情報は、患者さんの転帰にプラスの影響を与え、患者さんの満足度を向上させるための変更に利用することができます。
5.データ活用の注意点
a.厳重なセキュリティ対策が必要
もし情報が漏えいした場合、顧客に迷惑をかけ、信頼を失ってしまうリスクがあり、最悪の場合には事業の継続が困難になることもあり得ます。
収集したデータが漏えいしないよう、セキュリティ対策は厳重に行う必要があります。また、利用者への適切なプライバシーポリシー提示、顧客側での情報コントロール設定などの情報管理を行うことも重要です。
b.データの抽出箇所によって分析結果が変化する
多種多様なデータの中には、分析目的に合致しないデータ、部分欠如したデータ、表記ゆれや重複のあるデータも存在しています。データの抽出箇所を間違えると、全く違った分析結果になってしまうこともあります。データを分析する前には、表記統一や重複の削除など、データの標準化(クレンジング)をする必要があります。
c.客観的に分析結果と向き合う
データの分析がうまくいかないと、つい自分の経験と勘に頼ってしまうこともあります。しかし、誤った判断を防ぐためにも、分析結果には主観的な解釈をせず、客観的に向き合うことが大切です。また、せっかく分析がうまくいっても、その結果を他社の事例に当てはめてしまい、自社のパターンや方向性にズレが起きてしまうことがあります。このようなズレを防ぐためには、分析目的を明確にして分析結果を客観的に見ることが重要になります。
6.まとめ
多くの商品やサービス、データがあふれる現代社会では、従来のマーケティング手法では見いだせなかった可能性を感じて、ビッグデータを活用する企業が増えています。
顧客データを分析することで思わぬ事実が分かることがあります。ビジネス拡大の新たなチャンスが見つかることもあるでしょう。事例で紹介した企業も、様々な課題を抱えていましたが、なんとか「克服しよう」というキーパーソンの強い決意からスタートしています。
今は何から手をつけたらいいか分からないという企業は、まずデータに関する課題を整理することが第一歩になるかもしれません。