マーケティング コラムデジタルマーケティング

企業のSNSで行うべき炎上対策、防止について学ぶ

デジタルマーケティング
2023.04.27

企業がマーケティングや広報にてSNSを活用することが増えていますが、不用意な言動で炎上も起こりやすい状況にもなりつつあります。炎上が起こらないよう企業が気をつけるべきことを詳しく説明します。

SNS炎上とは?

Twitter、Facebook、Instagramなど日常的にSNSを使っている、コミュニケーションツールとして使っている人は日に日に増えてきています。
企業も例外ではなく、多くの人が集まる場所でもあるSNSをマーケティングや広報に活用するべく企業アカウントを取得し、運用することが当たり前になりつつあります。
一方、SNSを使うことが増えるにつれて投稿の手軽さや匿名アカウントであることも手伝って、不用意な言動を投稿してしまうことも増えているようです(あなたもそのような投稿を見かけたことはありませんか?)。
その言動をきっかけにしてSNS上で多数の人が批判や非難のコメントを投稿し、それらも拡散されることで騒動が広がり、更に批判や非難が集まることが繰り返されて取集が付かなくなる状況を「SNS炎上」と言います。
例えば過去には、コンビニ店員がアイスクリームなどの冷凍商品を保存している冷凍庫に入り、その上に寝そべる姿を投稿して炎上が起こり、最近なら回転すしチェーン店にて、客が醤油の入った容器や湯呑みを舐めまわした後に元に戻す様子を投稿して炎上が起こりました。
前述のようにSNS炎上の主な理由は、倫理性を欠いた過激な発言や行動がきっかけになることが多く、それ以外にも明確な答えのない、結論が分かれる話題の触れたときやセンシティブな話題(政治、宗教、ジェンダーなど)についての言及、SNSユーザーとのコミュニケーションの齟齬や誤解によっても起こってしまうことがあります。
更にSNS炎上は広範囲に拡散していくだけでなく、伝播するスピードも格段に速いことが特徴です。
実際の火災と同様に批判、非難が集中して更に広がっていく、早急には鎮火しにくい様子は正に炎上だと言えるでしょう。
ひとたび炎上が起こるとその影響は元となった個人はもちろん、属する企業の評判や信頼性にまで及ぶことも珍しくなく、そうなると企業は経済的な損失だけでなく社員の精神的な負担までもが生じることになります。
そのため企業アカウント(会社の看板を背負っている個人アカウントを含む)は尚更SNS上での発言や行動について慎重になることが求められているだけでなく、また、炎上が起こった場合には的確かつ迅速な対応が求められます。
このようにデメリットしかないSNS炎上が起こるリスクは出来る限り避けたいことだと言えます。
そこで、炎上を避けるためにも先ずは理由と原因をしっかり理解し、その上でSNS投稿を行うことが大切です・
次章では企業におけるSNS炎上の理由と原因について詳しく説明します。
しっかり読んであなたの企業の炎上対策、防止方法としてご活用ください。

企業におけるSNS炎上の理由、原因

個人アカウントと違い、企業アカウントは複数人で管理する、投稿内容もチェックが行われることが多いので炎上することも比較的には少ないのですが、それでも炎上がなくなるわけではありません。
企業におけるSNS炎上の主な理由、原因には以下のようなものが挙げられます。

1. 社員や幹部の不適切な行動
企業の幹部はもちろん社員がSNS上で不適切な発言や行動をとった場合、それが企業の評判や信頼性だけでなく経済的損失となる影響(不買運動のきっかけ)を与えることにもなりえます。
また、企業自体がその行動を是認しているような対応を行った場合、特に謝罪文や公式声明を出さずに黙っている場合は逃げているとも捉えられてしまって炎上が拡大することがあります。
よくある言い訳に使われるのは「あくまで個人の意見であり、属している企業、団体とは関係ありません」というものですが、社員の個人的なアカウントであっても、プロフィールに会社名を明記して(会社の看板を背おわせて)いれば、残念ながらその言い訳は通用しません(世間はそう捉えてくれません)。

2. 商品やサービスの問題や不具合
企業が提供する商品やサービスに問題や不具合あった場合、その情報がSNS上で拡散され、多数の人々から批判や非難を受けることがあります。
また、その不具合や問題に対して企業として的確な対応をとらなかった場合(上記同様に黙っている場合も含めて)、更に炎上が加速、拡散することがあります。

3. 企業の社会的責任の怠慢
企業には公器としての振る舞いも求められているため、企業が社会的責任を果たさない姿勢や行動をとった場合、それに対して批判や非難が起こることがあります。
例えば環境問題に関する企業の取り組みや、社員の福利厚生(いわゆるブラック企業による社員拘束など)についての問題などが挙げられます。
現役社員のリークによって発覚、炎上のきっかけになることも少なくありません。

4. 不適切な広告やマーケティング戦略
企業がSNS上で行う広報活動やマーケティング戦略が不適切なものであった場合、批判や非難が起こることがあります。
例えば、差別的な表現や、性的な表現が含まれた広告などが挙げられます。
他にも企業が人気インフルエンサーに報酬を渡して宣伝、投稿を行ってもらっているのに、その事実を隠してあたかもインフルエンサーが自然かつ自発的に商品やサービスの良い所をおすすめしているように見せかけるステルスマーケティングも炎上のきっかけとなり易いです。

このような理由、原因が企業におけるSNS炎上のきっかけとなりやすいのです。
炎上を避けることはもちろんですが、炎上が起きてしまった時にこれらの問題に対して適切な対応をとることも企業にとっては重要なことなのです。

企業SNSの炎上事例

企業SNSの炎上を避けるべく、ここでは過去に実際に起こった企業SNSの炎上事例を紹介します。
企業SNSの投稿、運用を行う際に気をつけるべきことだけでなく、自社のSNSにおいてはどう行動すべきかと置き換えて考えてみてください。

1. 旅行会社のTwitterでの不適切発言
旅行会社の公式Twitterアカウントが、あるシンガーソングライターの公式Twitterアカウントにて公開された画像に「ぶさいく」だとコメントを行う事態が発生しました。
シンガーソングライターのファンはもちろん多くのTwitterユーザーから批判的な声が殺到し、シンガーソングライター本人も「旅行会社に公式でブサイクと言われちゃった」と投稿を行い、その投稿を多くのユーザーがリツイートしたことで更に拡散されて炎上まで発展しました。
当該企業は問題のコメントを削除したうえで企業の公式アカウントからシンガーソングライター謝罪を行い、「当該のツイートは弊社の見解を示すものではございません。」と発表しました。

2. 動画サービスのステルスマーケティング
動画プラットフォームサービスを運営する会社が、Twitterにて影響力のある複数のインフルエンサーに金銭を支払い、企業が指定した動画をあたかもインフルエンサーが自然かつ自発的に投稿したように見せかけるステルスマーケティングを行いました。
「協力者」として対象になっていたのは匿名ツイッターのアカウントでフォロワーが10万人を超える人物で、約2年前から企業の日本法人の担当者が契約を持ち掛け、1人当たりの投稿数は年間数千本に上り、報酬額が500万円を超えるケースもありました。
当該企業は「投稿に広告表記が必要だという認識がなかったが、利用者を誤認させる可能性があり、再発防止に努める」と発表、ステルスマーケティングの舞台となったTwitter社も「一般の投稿を装った広告を利用ルールで禁じており、確認されれば削除や利用停止などの対象になる」と発表しました。

3. 個人アカウントとの取り違え
報道を取り扱うマスコミメディア会社の社員が、自身の個人アカウントと間違えて特定の政党を批判する投稿を企業の公式Twitterアカウントで行いました。
「後出しジャンケン。膨大な経費を『当たり前』と言った口でよく言うわ。一族郎党ともに地獄へ堕(お)ちろ、カス」(原文ママ)と、かなり過激な投稿で、間違いに気がついてすぐに投稿を削除しましたが、既にスクリーンショットが撮られ、Twitter上で拡散されました。
当該企業は社員の一連の行動を「電波をあずかる放送局として到底許されるものではなく、不偏不党であるべき放送局の信用を揺るがしかねないもの」と発表し、社員の懲戒解雇を決めました。
また、公式アカウントの管理・運用の体制にも問題があったとし、関係者も減給処分も発表しました。

4. バイトテロ
飲食チェーン店の男性アルバイト店員が自身のInstagramアカウントにて、自社商品に対して不適切なことを行った動画を投稿しました。
それを見ていた別の店員は呆れた顔で見ていたものの止めることもなく、また、該当の動画もInstagramのストーリー機能(24時間で自動的に削除される)かつ鍵付きアカウントでの投稿でしたが、Twitterに転載されて瞬く間に拡散されました。
当該企業は「このような、店舗内の休憩室での不衛生で不適切な行為によって、お客様に大変ご不快でご不安な思いをさせてしまいましたことを深くお詫び申し上げます」と発表し、発覚当日に店舗を営業停止、店における衛生管理の確認や清掃などを行いました。

以上のように企業のSNSアカウントで不適切な投稿を行うことが炎上に繋がりやすく、また、最後の例は企業のSNSアカウントではないものの、社員の投稿であっても企業と紐ついて問題視されることは踏まえておくべきでしょう。

SNS炎上を防ぐ対策は?

これまでの炎上の説明と具体例で示したように、一度SNS炎上が起こってしまうと簡単に鎮火できないのはもちろん、企業にとっては重大なイメージ棄損と信頼の低下を招いてしまいます。
残念ながら炎上を完璧に防ぐことは不可能に近いことですが、少しでも炎上を減らすために事前に対策を行うことは可能です。
SNSアカウントの運用を行う際は、以下のポイントに充分に気をつけて運用を行ってください。

1.社員のネットリテラシーの向上(社員研修、教育)

「ネットリテラシー」とは、ネット上で発言する際のモラルのことです。
これをSNS担当者はもちろん、社員全員が身に付けるように社員研修、教育を行うことをお勧めします。
SNS担当者以外も身に付ける理由は、上記の例3と4で示したように、個人のアカウントと企業アカウントを混同してしまって炎上してしまうことが意外と多いことや、個人アカウントにて社員が不適切な投稿を行ってしまって炎上するケースが多いからです。
特に個人アカウントは企業の管轄外であり個人によって運用されているものでもあるので、完全に個人の裁量に委ねられてしまいます。
プロフィールに会社名を明記していれば、あくまで個人の意見だという言い訳は残念ながら通用しません。
そうならないためにも、全社員がネットリテラシーを身に付けるように社員研修、教育を行いましょう。

2.ガイドライン(社内運用ルール)の策定

企業の公式SNSアカウントを運用するに当たり、ガイドライン(社内運用ルール)を作成し、遵守しましょう。
ガイドラインを決めずに運用を行うとSNS担当の裁量によって運用が行われるため、もし担当が変わってしまえば投稿内容の一貫性も失われてしまいかねません。
また、担当者のみの運用となれば間違いに気が付かないまま投稿してしまうリスクも高まります。
そうならないためにも複数で(チームで)投稿のチェックを行うよう体制を整えれば、間違いはもちろん炎上しかねない投稿だと気が付くので事前に炎上を回避できる確率が高まります。
これらのルールを明確にするためにもガイドラインの策定を行いましょう。

3.確証のない情報を投稿、拡散しない

確証のない、不確かな情報を投稿するのはもちろん、他人の投稿であっても不確かな情報ならば拡散しないようにしましょう。
そんなつもりはなかったとしてもリツイートなどで他人の投稿を拡散することで炎上に加担してしまうことも少なくありませんし、ましてやその他人の投稿は間違った情報だったならば、デマの拡散に加担したとみなされるからです。
また、投稿の内容によっては名誉棄損などの炎上に繋がり、更には刑事・民事上の罪に問われる可能性すらあります。
そうならないためにも確証のない、不確かな情報については投稿、拡散を行わないことを徹底して下さい。

これらの対策をしっかり行って少しでもSNS炎上を未然に防ぎましょう。

まとめ(それでも炎上してしまったならばどうするか?)

上記の対策を行えばSNS炎上はかなりの確率で減らすことが出来ます。
しかし、それでも炎上を完璧に防ぐことは不可能に近いため、炎上が起こってしまった場合は早急かつ適切な対処が求められる状況に陥ります。
最後に炎上が起きてしまったときにどう対処するのかをまとめましたので参考にして下さい。

1. 事実関係と炎上理由を把握する
炎上が起こると直ぐにでも反論や意見の訂正・投稿の削除を行いたくなりますが、事実関係と炎上理由がわからない状態で反論や意見の訂正・投稿の削除を行うのは禁物です。
それが的外れな対応だったならば更に炎上が加速、拡散してしまうからです。
特に投稿の削除は証拠の隠ぺいと捉えられてしまい、既にスクリーンショットされた画像が更に拡散する事態を招いてしまいます。
なぜ炎上してしまったのか、ユーザーは投稿のどの部分に注目して批判しているのか冷静に分析した上でどういう対応をとるのかを決めましょう。

2. 適切な謝罪と原因分析、再発防止策を発表する
事実関係と炎上理由を把握したならば、謝罪すべき部分についてはできるだけ早急に公式見解として発表しましょう。
その際の謝罪も、ミスとして認めるべきところは認め、誠実な説明を尽くしてください。
自分達のミスではないと認めたくない気持ちも理解出来ますが、言い訳がましい謝罪は聞く側も素直に受け取ることができないものです。
また、謝罪の際に原因分析と再発防止策も一緒に発表できると尚良いです。
真摯に反省したからこそ、今後は同じミスを繰り返さないことの説得力が増すからです。
もちろん謝罪も再発防止策も口だけにならないよう、企業内でしっかり実施してください。

3. 投稿の削除
1と2をしっかり行った上で炎上のきっかけとなった投稿を削除します。
できることなら投稿を削除する理由として、該当するSNSや自社のHPに謝罪と原因分析、再発防止策を暫く掲載しておきましょう。
それもなしに削除してしまうと証拠の隠ぺいと捉えられてしまい、既にスクリーンショットされた画像が更に拡散する事態を招いてしまいます。
一度炎上が起こると炎上のきっかけとなった投稿を削除したとしても、炎上した事実はカタチを変えてネット上に残ります(これをデジタルタトゥーと言います)。
だからこそ炎上したときは真摯に謝罪を行い、再発防止策を発表したという事実を残すのです。
何もせずに放置したままにしていても自然に鎮火することもありますが、それを行ってしまうと後に炎上した時に「以前もミスを認めずに謝罪も行わなかった」という事実が更に炎上を拡大させることにもなるでしょう。

このように企業のSNS炎上は、企業にとっては重大なイメージ棄損と信頼の低下を招いてしまいます。
事前にガイドラインを策定して炎上を防ぐと共に、炎上が起こってしまった場合も冷静に現状を見極めて対処を行えば、損失を最小限に抑えることも可能です。
少しでも炎上が起こるの確率を下げるよう、専門業者のサービスなどを利用する、外部のチカラを借りるのも一つの方法です。
次節ではおススメのサービスを紹介しますので合わせてご検討ください。